空母と戦闘機 2019 4 28

 昨年の12月には、ネットの世論では、
ヘリコプター空母である「いずも」を、
戦闘機搭載の空母にする話で盛り上がっていましたが、
現実的ではないのです。
 戦闘機は、意外にも重いのです。
ましてや、F-35Bとなると、相当な重さがあります。
 F-35は、双発エンジンで大型戦闘機のF-15と比べても、
同じような重さだと聞いたことがあります。

書名 空母を持って自衛隊は何をするのか
著者 兵頭 二十八  徳間書店

 さっそく、この本から引用しましょう。
筆者は、こう言います。
 いったい、今の海上自衛隊のフラットデッキ艦のヘリ甲板が、
どのくらい「やわい」のであるかというと、
2軸ローターの大型輸送ヘリコプターである、
「CH-47 チヌーク」(全備重量22トン)は、
「ひゅうが」型や「いずも」型の最上甲板のいちばん艦尾寄りか、
艦首寄りの限られたエリアに着艦することは許されても、
中央部分に着艦することは、
甲板強度の不足のために許されていません。
 「MV-22 オスプレイ」(垂直離陸モードの最大重量23トン強)や、
「F-35B」(最大離陸重量27トン強)は、
現状では、「いずも」型に同時に1機だけ着艦(または露天繋止)させることができるだけです。
しかも、現状でしたら、発艦は「垂直離陸」モードでやってもらうしかありません。
(引用、以上)
 私は、海上自衛隊の横須賀基地で、「いずも」を見たことがあります。
重い「F-35B」を多数搭載すると、艦のバランスが悪くなってしまうかもしれません。
 「いずも」は、アメリカの強襲揚陸艦と同じようなサイズですが、
著者は、アメリカの強襲揚陸艦のほうが重く、頑丈にできていると書いています。
 昭和の時代も、平成の時代も、
自衛隊の兵器は、中途半端なものが多かったと言えます。
 私は、税金を投入するならば、
世界最強の兵器を作るべきであると何度も書いてきましたが、
自衛隊は、中途半端なものを作ることが多いのです。

海に浮かぶ切手 2019 1 27
「航空力学から考える空母」
 昨年の年末は、ネットの世界で、
海上自衛隊の大型艦「いずも」が、
空母になるのではないかと盛り上がっていました。
 そもそも、「いずも」は、国際的には、
「ヘリコプター空母」に分類されます。
 それを固定翼航空機の空母に改造するという話で、
盛り上がっていたのでしょう。
 さて、航空力学から考えれば、
固定翼航空機の離着陸は、長大な滑走路が必要でしょう。
 それなのに、上空から見れば、
空母は、「海に浮かぶ切手」のように、
不安定で小さく見えるでしょう。
 そういうわけで、固定翼航空機が、
空母に「離着陸」するのは、航空力学からすると、
「あり得ない」と言ってよいでしょう。
 正常な離着陸には、1,000mぐらい必要でしょう。
アメリカの空母は、巨大でも330mぐらいです。
 しかし、アメリカの原子力空母からは、
「F/A-18戦闘爆撃機」が飛び立っているのではないかと思うかもしれません。
 しかし、戦闘爆撃機にミサイルと爆弾、
さらに燃料を満載したら、
航空力学からすると長大な滑走路が必要になります。
 では、どうやって戦闘爆撃機は、飛び立つのか。
これは、射出機(カタパルト)を使って、戦闘爆撃機を射出させます。
力学的には、ビリヤードで勢いよく球を突き出すようなものです。
 次に、戦闘爆撃機が空母に「着艦」しているように見えますが、
どう見ても、「人工的な墜落」に見えます。
 戦闘爆撃機は、フックを空母のワイヤーに引っ掛けることで、
時速200Km以上が速度ゼロになり、「着艦」が終わります。
 そこで、こうした無理をしないために、
「F-35B戦闘爆撃機」を使うのでしょう。
 この戦闘爆撃機は、短距離離陸・垂直着陸が可能ですが、
何かを犠牲にしています。
それは、燃料と兵器です。
 この戦闘爆撃機は、垂直離陸も垂直着陸も可能ですが、
燃料を「大食い」してしまいます。
 やはり、戦闘爆撃機というものは、
最初から燃料を節約するという発想はよくないです。
燃料もミサイルも爆弾も満載して大空を飛ぶのが理想です。
そのためには、長大な滑走路が必要です。
 空母のような効果がある空中給油機があれば、
航続距離が短い戦闘爆撃機の威力が増大します。
陸上の飛行場からでも飛び立っても行動範囲は大きなものとなります。
 現代の最強兵器とは、潜水艦です。
潜水艦の魚雷で、空母を撃沈できれば、
費用対効果は極めて大きなものになります。
 さらに、機雷戦も展開すれば、
海の支配力は、強力になります。

海軍の実力 2018 4 29
 私は、海軍の本当の実力とは、
機雷敷設と掃海にあると思っています。
 にもかかわらず、世の中、
空母やイージス艦など、派手な兵器に注目が集まります。
 「イージス艦がすごい」とか、
「日本も空母が欲しい」という話題ばかりです。
 このような兵器は、破壊力が激しいので、
戦争好きの人には、格好の話題になるでしょう。
 それに比べて、機雷は、平和的な兵器です。
艦船が機雷に触れると、いきなり沈没するわけではなく、
航行不能になるだけなので、
徐々に沈没していくかもしれませんが、
乗組員を避難させる時間があります。
(機雷は、魚雷とは違うのです)
 空母を機雷で「航行不能」にしてしまえば、
費用対効果は、極めて大きなものとなります。
 一方で、掃海技術は、極めて高度な技術であり、
10年程度では、習得できない技術です。
 そういうわけで、機雷と掃海の両方が優れていれば、
海の戦いにおいて、圧倒的に有利になります。
 そう言えば、アメリカ海軍も、
あまり掃海には力を入れていないと聞いたことがあります。
 一方で、日本の海軍は、
掃海技術が世界トップレベルと聞いたことがあります。
 つまり、日米同盟を考えると、
日本海軍は、アメリカ海軍の補完勢力でしょうか。
 日本の国是である「専守防衛」を考えると、
「機雷戦」は、国是に合致しているように思えますが、
日本経済にとっては、マイナスかもしれません。
空母やイージス艦を作っていくほうが雇用を生み出していきます。
アメリカは、雇用を生む空母やイージス艦に力を入れているかもしれません。





































































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